夏休みはあっという間

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聡に握られた手だけが熱をもつ 電車の中は混んでいて、入る時は周りの迷惑になるかもしれないから離した。 お互い立つ位置が決まって、聡はつり革に掴まれたけど俺は掴まる場所がなかったから 「りゅう、俺に抱きついて」 聡がコソッと隣にいる俺に言うから満員電車の中、俺は黙って聡の胸の中にすっぽり収まった。 車内はぎゅうぎゅうで、俺が聡に抱きついてることなんて分からないくらいぎゅうぎゅうで。 だけど恥ずかしくて俺は抱きつきながら目を瞑った。 だって掴まるところがないからしょうがなくしているわけじゅないから 聡に抱きしめてもらいたいから満員電車の中どさくさに紛れて抱きついてるなんて恥ずかしすぎるから。 「はぁ、電車の中やばかったね。りゅう大丈夫?」 「うん。聡は?」 「最後出る時女の人にヒールで足踏まれたけど・・・」 「えっ?!まじ?あ、だからさっき「うっ!」っていったのか。」 「痛くて声出た・・・」 「大丈夫か?」 「一瞬だったから大丈夫。あ、りゅう信号渡っちゃお!」 「うん。聡走れる?」 「大丈夫、りゅう、ほら、手!」 俺たちは歩行者信号が点滅している中、手を繋いで走った
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