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 ひとまず目的地へ向かって、お腹が空いたらどこかで調達することにした。社屋を出ると駐車場に停めた社用車の前に二郎君がいた。ジャケットとテーパードパンツのセットアップ。ゆるっと着ているにも関わらず脚の長さがよくわかる。顔が小さい。頭身が高い。俺より背が低いなんてことは横に並ばないとわからないだろう。彼は俺に気が付くと口を「あ」と開けた。多分実際に「あ」と声を上げたのだろうが俺には聞こえなかった。それから顔を綻ばせて早足で近付いて来た。「おはようございます」と俺が言うと「おはようございます」と返した。 「朝に傳嗣さんに会えたの久しぶりです」 「どこ行くんですか」 「仙台。テレビ番組の撮影」 「ほほう」 「ローカルだからちょっとは気が楽かな」 「そうか」 「行ってきます」 「行ってらっしゃい」
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