バカは腹を割って話したがる

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　タオルの上から赤いフルフェイスヘルメットを被った。アライのヘルメット。これはかなりこだわって選んだ。俺が八木山橋から飛び降りた後はプレスカブもヘルメットも二郎君が引き取っていた。現世に戻ってみて驚いた。ヘルメットにサインが書いてあった。俺の好きな番組のディレクターのサイン。どこで書いてもらったのかはよくわからない。二郎君はすごい。どこまでも俺のことを想ってくれる。だから俺もその気持ちに答えなくちゃいけない。ギアを1速に入れると小さくではあるが車体がガクンと動いた。スロットルを捻ると走り出す。すぐに2速に入れる。バックミラーに喫煙所へ向かう山崎さんが見えた。まだ10時にもなっていないのに休憩早すぎだろ。俺が言えたことじゃないか、しょっちゅう寝てるし。プレスカブはその小さな車体と長閑なエンジン音がぴったりの農道を時速30キロで走る。さて、どこを通って行こうか。俺は考える。