はじまりの日

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はじまりの日

その日は静かに訪れた 何も変わらない朝 いつものように気怠(けだる)い感じで起き上がる。 特に変わらない朝 足の裏に堅い床の感触が少し痛く感じる。 清々しいまでに 散らかった部屋 ため息が知らずこぼれる ただ、違うのは私の手。 その手は私の体にピッタリとくっついている。 手のひらの暖かさをお腹に感じる。 ゆっくりとお腹を移動する手のひら 体に感じるいつもとは違う感覚 たった一つ 手のひらの暖かさ 肌の上をスルスルと滑る心地よさ 昨夜聞いた話 「体を撫でてあげて!」 彼女からの発信だったから素直に聞けた。 ただひたすら体をすべる手のひら。 今日から少しだけ違う日が始まる。 今日よりも明日 朝よりも夜 今よりも1分後の今 少しずつ変わっていくであろう「私」 今日は これからはじまる私の物語のはじまりの日
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