2人が本棚に入れています
本棚に追加
ですが逆に考えれば、もしこの私が新たな階の発見をした場合、その全てが私の素晴らしい功績として讃えられる訳なのです!
これは願ってもない事ですわ。
──と、期待に胸を膨らませ、塔の外から白亜の女神像の後ろ姿を見つめた私の背後から。
「──……げ、」
と下品な声が上がりました。
私は思わず振り返りながら口を開きます。
「げ、とは何ですの!?
しかもその声……」
ゾッとしながら振り返った先で、私のつぶらな瞳に最も悍ましく最も品のない顔が映りました。
色の薄い、茶髪とも金髪ともとれない短髪に、いつでも人を睨み据えるような茶色の眼。
私と同い年のこの男──ノルフィス・エドワルド!
学会の意見も聞かず、いつだって好き勝手ばかりやっている愚か者。
おお、それなのに何故か『遺産に魅入られし者』だの『クレ・エンテの息子』だのと周りから言われるほど数多くの遺産を発掘し、遺産学者として有名になっている様です。
きっと私の不動の地位を狙って自分でも大袈裟に触れ回っているせいに違いありません!
と、そのノルフィス・エドワルドがいかにも嫌そうな表情で私に口を利きます。
最初のコメントを投稿しよう!