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「何であんたが んなトコにいるんだよ。
いつものバカそうな助手も連れずに?」
「バカそうとは何です。
自分の顔を鏡で見てからおっしゃいな。
トレンスの顔が神の如く見えますから。
……トレンスは胃潰瘍でしばらく入院する事になったのです。
退院を待ってばかりもいられませんから、今回は私一人で探索に来たのです」
「気の毒にな。
あんたと組んでて胃が悪くならない人間なんて存在出来る訳ねぇもんな。
お大事に」
失礼な事を散々並び立て、エドワルドが私より先に塔へ入ろうとします。
私はスッとその前に立ちはだかって見せました。
エドワルドがイラついた様に眉をヒクリとさせますが、私は気にしません。
「お待ちなさい。
調査認行書はお持ちですの?」
『調査認行書』とは、学会からその遺跡を調査する事を認められていますという証。
私はこれを取るまでに約三ヶ月近くもかかり、ようやくここの調査に漕ぎつけたのです。
もちろん、これを持たない者の勝手な調査など、盗人の盗掘と同じ事。
許される訳もありません。
私が尋ねた先でエドワルドがイライラした調子で「持ってねぇよ」と口を開きます。
やっぱり。
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