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重みに、目が覚める。
肩に規則正しい寝息を感じつつ、背後から回されて身体の上に乗っている腕をゆっくり外した。
ウエストの下には、いつものように敷かれたもう一方の腕。
その囲いから抜け出して身体を起こし、熟睡している男を見下ろす。
端正な顔。
全身の力を抜いて眠りについてもなお、その寝顔は整ったままだ。
まっすぐに伸びた鼻筋、少したれ目勝ちの目尻と反対にきりりとつり上がった形の良い眉。
昔は華奢で中性的な雰囲気の少年だったのに、たった数年会わない間にめきめきと成長して、今はまごうかたなき立派な男の姿になってしまった。
所構わず雄の色香を振りまき、女性達は賞賛の眼差しを贈る。
年上の自分から見ても、魅力あふれる男。
それがなぜ、今、ここにいるのか。
薄闇の中、ぼんやりと寝顔を眺めていると、ふいに寝息が途切れ、ゆるゆると目が開いた。
「ん・・・」
長い指先が頬に触れる。
「・・・どうか、しましたか・・・?」
甘くて、柔らかな声。
身体は大きくなっても、そこだけは変わらない。
つい笑ってしまった。
すると、軽く頬に触れていた彼の指がゆっくりと下りていって下唇で止まる。
ゆるゆると優しく撫でられ、薄く唇を開いて舌先で軽く応えた。
「拓真さん・・・」
甘い囁きに、吸い寄せられるように身を沈めていく。
広げられた腕の中に再び囲われ、唇を合わせる。
何故とらわれるのか。
自分が
この男が
わからないまま、背中に腕を回した。
説明のつかない熱が、そこにある。
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