監督代行

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今年の3年生と2年生は、昨年の全国高等学校総合体育大会バレーボール競技大会の全国大会終了後、下半身強化と個々人の技術向上を中心に練習をしてきた。 4月に1年生が入部してきてから3年生と2年生は連係プレイを主体に練習し、仮想の相手高を想定した練習もするようになった。 1年生は別の練習メニューで、基礎体力作りとバレーボールの基礎練習を行っている。 バレーボール部のメンバーは皆元気が良くて、1年生も仲間に入ってバレーボール部はまとまっていった。 4月は静岡県内の他の高校と練習試合も行ったが、我が校は圧倒的な強さで快勝した。 僕はバレーボール部全体が良い方向に向かっているような感覚があって、メンバー皆の笑顔が印象的で嬉しい気持ちでいっぱいだった。 そんな4月下旬のある日の午後、阿久津監督から僕のスマートフォンに電話が入った。 「和倉君、今日僕は体調が悪くて休ませてもらうよ!  メンバーの皆の練習を見守ってください。」 僕は心配になって、 「監督、大丈夫ですか?  病院には行かれましたか?」 と阿久津監督に質問すると、 「今日病院に行ったけれど、どうも入院になりそうなんだよ!」 と元気のない声で答えてくれた。 バレーボール部の練習は、平日授業が終わって夕刻から夜までと、授業が休みの土曜日日曜日も練習を行っている。 僕は阿久津監督が入院する病院を聞いて翌日土曜日の午前、バレーボール部の練習を抜け出して病院を訪問した。 阿久津監督が入院している病室に入ると、阿久津監督がベットの上で横になっていた。 「失礼します。  監督、体調はいかがですか?」 僕が率直に質問すると阿久津監督が、 「おぉ和倉君、わざわざすまないね…  今は何ともないけどね…  どうも持病の心臓の調子が悪いようなんだよ!  少し入院が長引くかもしれないんだよ!」 と教えてくれた。
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