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僕が4月下旬から阿久津監督の代行をするようになって3週間が過ぎた5月中旬、阿久津監督は退院の目途がたたず復帰は難しい状況だった。
5月下旬から始まるバレーボール競技大会を前に、僕は不安にかられて阿久津監督のお見舞いを兼ねて阿久津監督の病室を訪問することにした。
土曜日の午前にバレーボール部の練習を抜け出して、僕は阿久津監督が入院している病院に向かった。
僕は病室の前でドアをノックして、
「失礼します。」
と言って病室内に入った。
僕の目には阿久津監督は以前よりもやつれたような感じがして、僕は阿久津監督は試合前に復帰するのは難しそうだと感じた。
「監督、調子はいかがですか?」
僕が阿久津監督に聞くと、
「うん、あまり変わらないね!
入院は少し長引きそうなんだよ!」
と答えてくれた。
「監督、来週から地区大会が始まるのですが、僕はうまくバレーボール部を引っ張っていけるのかどうか不安を感じています。」
僕が率直に阿久津監督に悩みを伝えると阿久津監督が、
「和倉君はバレーボール部を引っ張っていかなくていいんだよ!
和倉君はメンバー皆の背中を押してあげるような存在になってもらえないかな?」
と教えてくれた。
「背中を押す…ですか?」
僕が半信半疑に答えると阿久津監督が、
「そう!
和倉君ならできると思うよ!」
と笑顔で言葉をかけてくれた。
僕は阿久津監督にバレーボール部の様子を報告して高校に戻った。
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