監督代行

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翌週の5月下旬、試合を翌日に控えたバレーボール部は練習後にミーティングを開いた。 ここで僕は、メンバーに自分の思いを正直に伝えることにした。 「監督が不在で頼りない僕が監督代行だけれど、僕は僕なりに精一杯頑張るつもりだよ!  そこで皆にもお願いがあります。」 メンバー全員の目線が僕に集中していると感じながら、僕は話を切り出した。 「皆が監督のために頑張る、ご家族のために頑張る、友達のために頑張るといった気持ちを持っているとしたら、それはとても良いことだと思うよ!  皆が大会に出ることができるのは、皆のことを応援してくれる人がいたからで、その人への感謝の気持ちは大切だよ!  でもね、大会に出るために一番頑張ったのはここにいる皆、自分自身だと思うよ!  だから、自分自身のために頑張るという気持ちも忘れないでほしいと思う!」 僕の話にメンバーの皆は真剣に耳を傾けてくれているようだった。 さらに僕は話を続けた。 「皆が精一杯全力で試合に臨んで悔いが残らないようにできたとしたら、結果試合に負けたとしても皆を応援してくれた人はわかってくれると思うよ!  だから明日からの試合は、皆悔いが残らないように全力で頑張ってください。  それから、これはいつも監督から言われていることで分かっていると思うけれど、試合中ミスをした人を責めないでね!  皆で助け合って声かけあって、元気に試合に臨んでください。」 するとメンバーの皆が、 「はい」 という元気な返事をしてくれた。 翌日から2日間、静岡県の東部地区大会が開催されて我が校は優勝することができた。 続けて6月に入って3日間、静岡県大会が開催されて優勝し、さらに6月下旬に2日間、三重県で開催された東海大会でも優勝することができた。 僕はメンバーの皆が真剣に試合に臨む姿がとても嬉しくて目に焼き付いた。
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