絡まる

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『朱里ちゃん? どうした?』 目の前にいるのは佐恵子なのに、輝明の声が聞こえて来る。 運命は変えられない。 もう変えることはできない。 気が付くとあたしは手にカッターナイフを持っていた。 黒い糸が絡み付く足首を見下ろす。 「ちょっと朱里?」 「来ないで!!」 佐恵子へ向けて怒鳴っているのに、輝明に向けて怒鳴っているような気がした。 それもこれも、この糸のせいだ。 でも……。 糸が繋がれば、また切ればいい。 何度も何度も切ればいい。 繋がった箇所を、なくせばいい。 そうすればいつか最後には……。 あたしはカッターの刃を自分の足首に深く食い込ませたのだった。 END
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