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頭はまだまだ混乱していて、彼氏に言われた言葉を受け止めることができていない。
好きな人ができた?
相手は誰?
いつ?
彼氏に聞きたいことはあったはずなのに、結局あたしは何一つ質問することはできなかった。
「ちょっと朱里、どうしたの?」
教室へ戻って来てからずっと机に突っ伏しているあたしを見て、友人の門倉佐恵子(カドクラ サエコ)が、あたし、天宮朱里(アマミヤ アカリ)へ向けて話しかけてきた。
佐恵子はどんぐりのような大きな目を不審そうに細めて、あたしの席の前に座った。
「佐恵子……」
佐恵子の顔を見た瞬間、目の奥がジンッと熱を帯びた。
彼氏に振られたという現実が、一気に押し寄せてくる、
「ちょっと朱里、どうしたの?」
一度あふれ出した涙は自分では止める事ができず、次々に流れ出す。
あたしはポケットからハンカチを取り出して、自分の目元を抑えた。
佐恵子にどうにか説明をしたいのに、言葉にならなくて嗚咽が漏れる。
教室内で泣いてしまうなんて、高校に入学して初めてのことだ。
そのくらい、彼氏のことが好きだったんだと改めて自覚した。
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