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「あ、気を悪くしたならごめんね? でも、なんだかそんな気がして」
佐恵子が慌ててそう言った。
どうしてわかったんだろう?
そんな疑問と同時に、絶対に肯定してはいけないと思った。
高原が相手だなんて知られたら、あたしはきっと笑いものだ。
「そんなワケないじゃん! なに言ってんの佐恵子~」
あたしはそう言いて大きな声で笑った。
「そっか。それならいいんだけどさ」
「あたしの相手はもっとカッコいい人なんだからね」
「顔だけじゃないと思うけど、朱里はカッコいい人が好きだもんね」
「そうだよ! そういう人と付き合いたいから頑張ってるの!」
だから、絶対に信じない。
運命の相手が高原だなんてこと……。
☆☆☆
家に戻り、自室で宿題を片付けていると鞄の中のスマホが震えた。
右手を伸ばし、内ポケットから白いスマホを取り出す。
「誰……?」
見たことのない番号からの着信に首を傾げた。
相手もスマホか携帯電話の番号だけれど、うかつに出てもいいものかどうか悩んだ。
そうしているうちに着信は止まり、画面は暗転する。
「まぁ、いっか」
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