切る

2/19
前へ
/163ページ
次へ
そんな気分になって、黙り込んでしまった。 「あ……」 そんな調子で教室までやって来たとき、4組の高原が入口の近くに立っているのが見えた。 自然と足が止まってしまう。 近づきたくない。 そう思うのに、向こうがあたしに気が付いて近づいて来てしまった。 少し歩くだけで高原の巨体は大きく揺れる。 まるで、地震が起きてしまいそうだ。 高原は脂ぎった笑顔を張り付けて、あたしと佐恵子の前で立ちどまった。 「おはよう天宮さん。と、その友達」 佐恵子のことを付けたすように言うなんて、お前は何様だ。 内心そう毒づいて高原を睨み上げた。 背が高い上に大きいから、近くにいるだけで威圧感がすごかった。 「昨日は突然メッセージしてごめんね。驚いたよね? でも、俺天宮さんとメッセージで繋がれてすごく嬉しかったよ」 鼻息荒くそう言ってくる高原。 「それなんだけど。高原君は誰から朱里のメッセージIDを教えてもらったの?」 「えっと、1組の……誰だっけ? 名前、忘れちゃったなぁ」 そう言って頭をかく高原。 「しらばっくれないでよ」
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加