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あたしがそう言うと、高原はヘニャッと表情を崩した。
こちらが怒っていることにも気が付かないなんて、どれだけマイペースなんだろう。
「しらばっくれてなんてないよ? ただ、沢山の生徒に聞いたから、誰が教えてくれたかわからなくなったんだ」
なんでもないようにそう言う高原に、あたしと佐恵子は目を見交わせた。
「1組の生徒、何人くらいに聞いたの?」
佐恵子が、恐る恐るという雰囲気で高原に訊ねる。
「えっとぉ~」
高原は記憶を呼び起こすように視線を空中へ投げて「1人、2人」と、指折り数えはじめた。
それが10人に到達したとき、あたしは大きくため息を吐き出して「もういい」と、一言言った。
それだけの人数に聞いているのなら、もうクラス中で知らない子はいないだろう。
もし、あたしと高原が妙な噂になっていたら?
そう考えると腸が煮えたぎった。
もう一秒たりとも、こいつの顔を見ていたくない。
あたしはそう思い、大股で教室へと入って行ったのだった。
☆☆☆
その日は放課後まで最悪だった。
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