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高原のことが噂になるところか、休憩時間の度に本人が1組へやってきてあたしに声をかけるのだ。
あたしが佐恵子と話をしている時でもおかまいなし。
トイレに行っていた時はトイレの前で待っていた。
「もう……最悪……」
高原の顔なんて二度と見たくないと思っているのに、あいつは度々やってきてニヤけた顔を見せて来る。
1組の中でもそれはあっという間に広まって、『高原君と付き合ってるの?』
と、何度も質問されたほどだ。
その度に全力で否定していたら、さすがに疲れてしまった。
そしてようやく放課後になったところだった。
「今日は一緒に帰ろうね」
机に突っ伏しているあたしへ向けて、佐恵子がそう声をかけてきてくれた。
あたしは顔をあげる。
高原のことなだから、あたしの家までついて来てしまいそうだ。
「ありがとう。そうしてもらえると助かる」
あたしはそう返事をして、重たい体を持ち上げた。
高原のせいで精神的に追い詰められ、今日は授業も身が入らなかった。
「ここで待ってて」
佐恵子がそう言い、先に廊下へ出て確認する。
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