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そして「大丈夫だよ。いないから」と、声をかけてくれた。
悪いのはどう考えても高原の方なのに、どうしてあたしがコソコソしないといけないんだろう。
そんな憤りを覚えながらも早足で下駄箱へと向かう。
ここまで来ればもう大丈夫だろう。
「ねぇ、高原君と朱里は元々知り合いだったの?」
再び歩き出した時、佐恵子にそう質問されたのであたしは左右に首を振った。
「知らないよ。昨日食堂で合ったのが初めて」
名前と顔くらいは知っていたけれど、それ以上の関係ではなかった。
沢山の生徒たちが通う学校では、このくらいの関係の子は沢山いる。
「そっか……」
そう言い、佐恵子はなにか考え込んでしまった。
「どうしたの?」
「ねぇ、本当に高原君が運命の相手じゃないんだよね?」
その質問に、あたしは一瞬表情をひきつらせた。
今日あれだけ高原に話かけられたから、小指も確認している。
あたしの赤い糸は高原としっかりと結び付けられていた。
「そ、そんなワケないじゃん!!」
あたしは大きな声でそう言って否定した。
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