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あまりに大きな声だったため、来たく途中の生徒がこちらへ視線を向けてくる。
「それならいいんだけど……」
運命の相手だから、高原はあんなに必死になってあたしに話かけるんだろうか?
だけど、あたしはこれだけ高原のことを嫌悪しているのだ。
そんな状態の相手が運命の相手になれるはずがない。
「佐恵子ってば変なこと言わないでよね」
あたしはそう言い、佐恵子の前を歩き出したのだった。
☆☆☆
家に戻ってからはようやく安心できた。
今日は佐恵子が家まで送ってくれたから大丈夫だったけれど、今後どうなっていくかわからない。
いくら冷たい態度をとっても、キツイことを言っても高原はメゲない。
あたしから引き離すことは難しそうだ。
いつまでも佐恵子に守ってもらうわけにはいかないし、どうにか策を考えないと……。
そう思った時、再びハサミが視界に入った。
昨日この糸を切ってしまおうと考えた自分を思い出す。
あの時はタイミングが悪くて切れなかったけれど……。
あたしはそっとハサミを握りしめた。
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