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いつも使っている文房具なのに、今日だけは特別鋭利な刃物のように感じられた。
「運命の糸を切ったって、別に平気だよね……?」
あたしはそう呟いて、赤い糸にハサミを入れたのだった。
あれだけ頑丈だった赤い糸はスルリとほどけ、床に落ちると同時に消えて行った。
「消えた……」
あたしは息を飲んでそれを見つめる。
左の小指には糸が巻かれていた感触も残っていない。
「な……なぁんだ! 運命の赤い糸って切れるんじゃん!」
ホッとしたと同時にそう言い、大きな声で笑った。
これから一生高原に付きまとわれて、いつしか高原の事を好きになってしまって、結婚までしてしまうのかと思っていた。
でも違ったのだ。
赤い糸は切れて、消えた。
もう、あたしと高原は結ばれてなんかいないんだ。
そう思うと背中に羽が生えたような気分になった。
「よかった! これで本当の運命の相手を探せるよね」
あたしはそう呟いて、気分がいいままベッドに横になったのだった。
☆☆☆
翌日。
目が覚めると、左の小指に違和感があった。
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