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寝ぼけたまま左手を顔の近くに移動して確認する。
まだ薄暗い部屋の中で、自分の小指に糸が絡み付いているのを見た。
「え!?」
ハッと息を飲んで飛び起き、電気を付けて確認した。
「なんで……?」
昨日切ったはずの赤い糸が、またあたしの小指にしっかりと結び付けられているのだ。
「なんで!?」
昨日切ったじゃん!!
これであたしと高原は結ばれることはない。
そう思って大喜びしたのに……!
もう1度切ってみようか……。
そう思った時、ふと糸の色が変わっていることに気が付いた。
昨日までは鮮明な赤色だった。
細い血管が切れた時に出るような、透明感のある赤。
しかし、今日は太い血管を切ってしまった時の色に近づいている。
昨日よりも黒ずんでいるのだ。
「糸だから汚れたとか……?」
そう呟いて首を傾げる。
手元の糸だけ汚れるならともかく、部屋のそとへ続いている部分まで全部が変色している。
これってどういうこと?
あたしは糸を切る事も忘れて、呆然と変色してしまった糸を見つめていたのだった。
☆☆☆
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