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今日は学校へ行くのが億劫だった。
糸は再び結ばれてしまった。
学校へ行けば、きっと昨日と同じようなことになるだろう。
今日も1日高原の顔を見ていないといけないのだ。
「おはよう朱里。元気ないね?」
下駄箱で佐恵子にそう声をかけられて、あたしは頷いた。
昨日、糸を切った時の喜びは今朝消えて行ってしまったから。
「今日もしつこいようなら、先生に相談しようね」
「うん……」
もちろん、そのくらいのことはするつもりだった。
学校外までつきまとってきたら、その時には警察にも通報する。
そのくらいしなければ、高原は理解しないだろう。
重たい気分のまま教室へ向かうと、そこに高原の姿はなかった。
「今日はいないみたい」
佐恵子がホッとした声でそう言った。
あたしも、ひとまずは安心した。
昨日みたいに待ち伏せをされていたら、あたしに逃げ道はない。
「朱里おはよ~。今日は彼氏来てないじゃん」
クラスメートからそんな事を言われて「彼氏じゃないってば!」と、半ば本気で言い返す。
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