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というセリフに思わず笑ってしまった。
そんな、おとぎ話みたいなことあるはずない。
それなのに、佐恵子は突然笑い出したあたしにキョトンとした表情になる。
どうやら本気で言っていたようだ。
涙を流しながら笑うあたしに、「さては信じてないんでしょ」と、佐恵子が頬をふくらませた。
「そんなことないよ。信じてる」
「本当に? 朱里にはいいこと教えてあげようと思ってたんだけど、運命の王子様の存在を信じていないなら、教えないでおこうかなぁ?」
そう言って含み笑いを浮かべる佐恵子。
「いいことってなに? 王子様を信じてるってば!」
あたしはそう言ってまた笑った。
いつの間にか涙は引っ込んでいる。
「聞きたい?」
佐恵子が体を前のめりにしてそう聞いてきた。
その目はキラキラと輝いている。
「聞きたい」
そんなに、好奇心に満ち溢れた表情をされれば、聞かないわけにはいかないだろう。
「この辺に強力な縁結びの神様がいるんだって」
内緒話をするように声を低くし、真剣な表情でそう言う佐恵子。
あたしは佐恵子の言葉に目をパチクリさせた。
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