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「あんた、名前は?」
「え?ああ、桐渓星…。」
怪訝そうにしながらも、名前を教えてくれる。星、星か。よし覚えた。
「俺は鷹宮玲葉。ハンカチありがとうな。あの、同じ1年…だよな?よかったら一緒に行かないか?」
「鷹宮って、もしかして鷹宮財閥の…?」
また星が大きく目を開く。父親が有名だと、こうやって金持ち同士の間では名前がしれていることがよくある。
「あ、うんまぁそうだけど…あんまり気にしないでよ。俺の家、結構自己責任主義だから、俺になんか言ったからってなんか親から文句とか絶対ないし…」
慌てて説明する。元々金持ちの中学にいたこともあり、慣れるまでみんなが俺の名前を聞いただけでよそよそしくなることが多かった。
俺に何かしたら親が出てくるんじゃないかと思っている生徒も少なからずいたし、俺はそれに疎外感を感じていた。
それを聞いた星は俺の慌てようが面白かったのか、ふふ、と優しく微笑んだ。
「大丈夫だよ、そんなこと思ってない。有名な所だったからちょっとびっくりしただけ。いいよ、一緒にいこう」
正門の前で長話していた俺たちはようやく歩き始める。
よっっっっっしゃ!!!!!!優しい友達が出来た!!!!
これで高校生活ボッチという最低最悪の事態は避けられたな。
俺は何故か得意気な顔をしながら、歩を前に進めた。
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