覚悟

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【玲葉視点】 体育館に入ると、流石金持ちと言わんばかりの清潔感のあるお洒落な体育館が俺を出迎えた。荷物を指定のロッカーに直す。 中学の時は、教室で一通り確認があった後に荷物を教室に置いて入学式が行われていたが、ここでは荷物をロッカーにしまい、それを数人の教師が監視しているようだ。 上を見れば監視カメラが数個回っているのが見える。盗み防止なんだろうけど、この空間だけ随分と物騒だ。 教師に声をかけられ指示を出されるまま列に並び、そのうち入学式が始まった。お決まりの長い先生達の話、そして1年生はまだ覚えていないので口パクの校歌。 それから、生徒会長の挨拶。 俺は緊張していた。王道BLでは、生徒会が皆派手なイケメンで、金持ちの中でもトップレベルに金持ちで、学校を仕切っていて、大体主人公はそいつらに目をつけられる。 せめて生徒会長の顔だけでも覚えておかないと。 そう思ったのもつかの間、壇上にあがったのは大人しそうとまではいかないが、真面目そうな黒髪の男だった。 話す内容にも特に不自然な点はなく、お決まりの話の途中で面倒臭くなって帰ったり、突然この学校のルールを言い渡してくることもなかった。 なんだか俺は気が抜けて、隣に立っている星に小声で話しかける。 「なぁ、生徒会長って派手で金持ちなイケメンがやってねーの?」 「ええ?普通生徒会って真面目な人がやるイメージじゃない?玲葉、変なの」 星にそう言われればその通りだ。俺は姉のBL本で毒されているが普通の学校ではそれが当たり前なんだ。 俺は緊張していた肩を落とした。
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