覚悟

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恥ずかしながら俺は次男ということもあり会社のことはほぼ兄に任せきりでパーティなども参加していないため、金持ち界隈の知識があまりなかった。 「ほぉ、大物2人が仲良くつるんでんのか。おもしれぇ」 ………………!!! このセリフは気に入られる時に出るやつだ!!!!跡○くんの夢小説でも出てくるやつだ!!!!まずい、もっと大人しくしておかないと。 心の中で大暴れをしながら俯く。 するとイケメンが俺の顎を指で持ち上げ、俺はイケメンの顔を思わず見た。 黒髪で襟足が少し長く、涼し気な黒い瞳には何か違和感がある。ピアスを付け、制服を少し着崩して、非常に端正な顔立ちだ。背も高く、体つきもいい。 口の端を少し釣り上げて笑う表情は、如何にも自信満々と言った感じだ。所謂ザ・俺様タイプとみた。 お前は少女漫画のイケメンかなにかか? 俺はげんなりとしたが、いけない、ここで反抗したらまたおもしれぇ発言をされてしまうかもしれない。 大人しくしておこう。 「お前綺麗な顔してんな」 …………まさかこんなに直球で言われるとは思っていなかったが予習はバッチリだ。入学前にイメトレは済ませてある。 ここで綺麗とかいうな!と反抗すると面白い奴扱いになってしまっていたはずだ。 「そうですか、どうも」 俺はあまり表情を変えずにそう言った。そういうとイケメンはピクリと眉をまた上げる。 「俺にそう言われて照れもしねーのはお前が初めてだ」 「………!?」 おいおいおいまてまてまて 俺は漫画と違うことをしたはずなのに。 反抗したら気に入られるんじゃなかったのか?!だから大人しくしていたのになんでそうなる?! なんとか無表情を保っていたものの、内心ではバクバクと心臓が鳴り響いている。 危険信号が頭の中でガンガンと音を立て暴れ、こんな展開姉の持っていたBL漫画には描いてなかった!!とぎゅっと目をつぶった。
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