覚悟

9/9
前へ
/49ページ
次へ
「はぁ、はあ、もう、びっくりした。急に走り出すから…」 教室の前についたら、星が肩で息をしながら俺を見た。 「ご、ごめん、禁断の言葉を言われそうになったからつい…」 「禁断の言葉…?」 不思議そうに星が聞いてきた。ああそうだ、星は普通の男子だからBL関係の話なんて通じないな。いや俺も普通の男子なんだけど。 星は制服をキッチリ着ているので暑かったのか、肌に少し汗をかいている。息も辛かったのか瞳が少し潤み、王子様度がマシに増していた。 確かに中庭から一気に教室にかけ登ったので行息が苦しい。必死だったとはいえ星は完全に無関係だったのに悪いことしたな。 「…あの、玲葉手を離してくれる?」 そういわれてハッとする。急いでいたのでずっと星の手を握っていた。 高校生で男二人で手を繋いでいるのは明らかに異常だ。恥ずかしくなり慌てて手を離す。 少し照れていると星が俺の方を見つめ、ふぅとため息を付いた。不思議そうに見つめ返すと、2回目のため息。 「どうしたの?」 「なんだか不安になってきちゃった。玲葉って、結構無防備だから…」 「そう?さっきもイケメン回避出来てただろ?」 「…出来てたかなぁ…」 星はまたため息をつくと、教室の中に入る。俺も後ろを慌ててついて行った。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

315人が本棚に入れています
本棚に追加