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「...ごめんね
わたしが悪かったの
許してね
でも元気そうでよかった」
小声でそう言うと すっと立ち上がり僕を見てペコリとお辞儀をした。
「瀬野です
お待たせしました」
彼女はうつ向いたままだった。
「あ...沖です
僕もいま来たところです
どうぞそちらへ...」
僕は呆気にとられ そう言うと
彼女は僕から視線を外し伏目がちに対面席についた。
「食事はまだでしょう?
注文しませんか?」
僕はメニューを彼女に見える位置に置いた。
「わたしは...
オムライスのランチセットにします」
彼女はメニューを手に取る事なく言った。
その声に反応したのかカリナが伸びる声で数回鳴いた。
周りの客が鳥かごに気付き覗き込みながら笑みをこぼした。
彼女は窓から溢れる陽だまりの中で水が入ったグラスを見つめていた。
それ程長くないストレートの黒髪は陽が当たると所々で茶色く光った。
前髪を眉の位置で切り揃え右側の髪だけ耳に掛けていた。
どちらかと言うと痩せ型で細く伸びた腕は指先まで色白だった。
輪郭は卵型で大きな瞳と鼻筋が通った可愛い顔の女性だったが化粧を殆どしていないのか顔色は決して良くなく緊張のせいか下唇を噛んでいた。
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