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「養育費...ですか
僕は一向に構いませんし養育費なんてそれ程かかる物ではないので結構です
逆にこの子から癒やされてるので...」
僕は可笑しさを堪え鳥かごを見つめた。
「カリナって呼んであげて下さい」
彼女も鳥かごを見つめながら言った。
「あっ 分かりました
しかし貴方が寂しいのではないですか?
カリナに会えないとなると...」
「ええ それで...
もう一つ図々しいお願いがあるんです
たまに会いに行っても良いでしょうか?」
「んん...そうですね...
僕の休みの日になりますがカリナと散歩に行く事が多いのでその時に会いに来られたらどうでしょう?
その方が良いような気がします」
僕は失礼だとは思ったが出来るだけ彼女との接触の機会は必要最低限にしたいと思った。
「ありがとうございます
そうして頂けたら嬉しいです
宜しくお願いします」
僕達はお互いのメールを交換しあった。
そして僕は気になっていた事を思い切って聞いてみた。
「ちなみに心の病ってどのような...
見た感じ何か患っているようには見えなかったもので...
プライベートな事なのでお話出来なくても全然構いませんが...」
「いえ...
鬱病です
それもかなり重症です
それに...
多重人格だって言われています」
そう言うと彼女は細く白い腕を伸ばし左手首を見せた。
そこには太く盛り上がった一直線の傷跡と細い複数の傷跡が生々しく残されていた。
僕はそれを見た瞬間 計り知れない彼女の苦悩と心の闇の深さを感じたが 正直 僕には何も出来ないし恐怖さえ感じた。
そしてやはり彼女とは間と距離が必要だと思った。
彼女はテーブルの上から左手を下ろしゆっくりと話を続けた。
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