11人が本棚に入れています
本棚に追加
6
「体調がおかしくなり始めたのは中学1年の夏休み前でした
最初は初潮のせいだと思っていましたが突然 不眠症になりました
それまで普通の生活を送っていたのに昼と夜が逆転して体を動かす事も億劫になり何にもする気力が起きなくなりました
それで病院で診てもらうと慢性疲労症候群と言う聞いた事のない病名が付いたのです
それが病気の始まりです
学校に行きたい気持ちはいっぱいあるのに身体が言う事を聞かずその内に拒食と過食を繰り返し自分でもどうしていいのか全く分かりませんでした
改善の兆しもなく精神科に回され薬の処方とカウンセリングの繰り返しで出口の見えない暗闇の中にいるようでした
それでも勉強だけは何とか続けて学力を落とさないようにして調子のいい時は出来るだけ登校するようにしました
でも学校では”ズルして休んでる”とか”病気のフリをしている”だとか心無い言われ方をして心底悲しい思いをしたのを覚えています」
彼女はうつむき加減で一息ついた。
「あの、すみません
嫌な事を思い出させてしまいました
話は止めにして...
どうでしょう
もし良ければ一緒に散歩でも行きませんか?」
見も知らずの、しかも初めて会った僕に普通これ程自分の事を話してしまう人はいなかったし話の勢いもそうだが少し雰囲気を変えたいと思った。
それに僕も初めて会った女性とこれ程長く会話した経験もなかった。
「...はい、是非」
彼女は今まで見せた事のない笑みで応えた。
最初のコメントを投稿しよう!