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鳥かごを持ち上げるとメモ紙が挟み込んであり、
『この子の名前はカリナです。無責任な飼い主を許して下さい』
「ツッ!」
僕は空腹なのと相まって怒りが込み上げ舌打ちをしてしまった。
ペットを飼った事がない僕でも生き物に対しては最低限の慈しみと命の尊厳は分かっている。
このメモで飼い主は自分を責めつつ言い訳をしない事で自分を納得させようとしている事に腹が立った。
゛許すも許さないもお前は命を棄てたんだよ
しかもこんな無慈悲な所に゛
それが現実だし飼い主に対して更に怒りがこみ上げた。
僕はその鳥かごをゆっくりと揺らさない様にいつもと違う心持ちでアパートへ急いだ。
コンビニ弁当とビールで遅すぎる夕食を鳥かごの小鳥を覗き込みながら済ませるとこの小鳥の事を調べてみた。
小鳥の画像を撮ってネットで検索すると直ぐに教えてくれた。
「カナリア」
この子の名前 カリナの由来があまりにも安直過ぎて失笑した。
翌日、会社帰りに駅の近くにあるペットショップで店員に画像を見せて間違いないのを確認して餌を買った。
カナリアで間違いなかったが何かしら店員が不思議そうに眺めていた。
「この鳥がどうかしました?」
気になった僕は聞いてみた。
「あ、いえ...
前にうちの店にいた子に似ていたもので
でもこの種のカナリアは皆んなよく似ているので」
「そうですか」
僕は少し様子を見て拾得物として届けなきゃなと思った。
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