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「瀬野さん ちょっと待って下さい 確かに正直なところ厄介だと思いました でも貴方を嫌っている訳じゃありません 僕の卑屈な性格と自分の生活のリズムを崩したくないと言うややこしい僕の思考が色んな事を排除しようとするんです でもカリナと生活するようになって何かが変わって来てる様な気がするんです どうしても貴方が連れて帰ると言うなら僕に止める権利はありません だけどどうでしょう? 今日はこんな天気だし... お疲れの様だから少しだけ身体を休めてお帰りになられたらと思うんです」 鳥かごを持ったまま佇む彼女に言った。 「でもこんなに服が濡れてしまっているのでお部屋を汚してしまいそうで...」 僕は彼女の言葉をさえぎってバスタオルを渡し彼女をバスルームへ案内した。そしてバスタブにお湯を張りながら乾燥機の使い方を素早く教えてバスルームから退散した。 僕はこの一連の自分の手際良さに驚いた。 とにかく必死過ぎて何をどうしたか覚えてないがまだ2回しか会った事のない女性を家に上げオマケに風呂を使わせるなんて絶対にあり得ない。しかも着替のジャージとスウェットシャツまで用意した。きっと今まで女性との付き合いが無さすぎてこんな暴挙に出てしまったのかも知れない。 とにかく他人の女性を部屋に上げたのも風呂を使わせたのも着替えを貸したのも彼女が初めてだったし今までの自分ではあり得ない事だった。 思いもよらない展開で呆然とソファに座っていると猛烈に空腹感が襲って来た。 彼女への不埒な対応は糖分不足できちんとした思考が停止したせいだと思うようにした。
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