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簡単に出来て美味いもの... ツナマヨパスタに決めた。 スープはコンソメベースでオニオンとチキン。 もちろん彼女の分も作る。 食べないと言っても冷凍すれば無駄にはならない。 僕は彼女の事を考えつつ手慣れた料理を覚えている動作だけで作り上げた。 そうこうしてる内に1時間が過ぎていた。 バスルームからは全く音もせず死んでるんじゃないかとマジで不安になった。 「瀬野さん? 大丈夫ですか?」 扉を軽くノックをしながら尋ねた。 その時 カッチとロックを外す音がしたと思ったら扉がスライドし彼女の顔が30センチメートルの所に現れた。 「あっ!」 僕は驚き後退りした。 彼女はタオルで髪を巻きピンク色に高揚した頬を両手で隠した。 「す、すみません あんまり遅いんで死んでしまったかと... いやいやどうしたのかと心配で」 僕は早口で言い直した。 彼女はうつむき加減で口角を上げて微笑んだように見えた。 「お腹減ってませんか? 僕はペコペコで死にそうなんでパスタ作りました もし良かったら一緒にどうです?」 「わたしもペコペコで死にそうです」 彼女はハッキリと笑いながら応えた。 僕は近すぎる距離で見た彼女の笑顔がこれ程 素敵だとは思わなかった。 初めて会った時の様に二人共 食事に集中し黙々と平らげていった。 でもあの時とは状況も心の具合も全く違っていて彼女の仕草一つ一つが気になり そのどれもが新鮮で胸に刺さった。 それに今まで全く気付かなかったけれど華奢な割にスタイルも良く 貸してあげた服もダブつきは仕方無いにしても可愛いいと思った。
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