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「高校にも行かず引き籠もってゲームアプリやアイコンを作って小遣い稼ぎをしたりしてました でもあるIT企業のスタッフからシステムやるんだったら専門に行くか大学で基礎をしっかり収めた方がいいとアドバイスされたんです それで高校卒業資格を取って受験勉強を始めました そして大学受かったついでにこっちに引っ越して来たんです 通学は実家の方が断然近かったんですが どうしても都内では暮らしたくなくて...」 「そうだったんですね 沖さんも何だか苦労されてますね ちなみに変な質問ですが、 この沿線の駅で怪我とかされた事はありませんよね 例えば救急車で運ばれる様な...」 「駅で怪我? 救急車ですか? そういった経験はないです またどうしてそんな事を...」 「いえ 以前ちょっと気になる事があったので... でも忘れて下さい たまに思い出して人に聞いてしまう事があるんです」 「救急車に乗った記憶はないですね それより本当に今日 カリナを連れて帰りますか? 正直なところ心の準備をしていなかったので...」 「すみません 今日連れて帰ります わがままで申し訳ありません もうこれ以上ご迷惑はお掛け出来ません 本当に今までありがとうございました」 「そんな迷惑だなんて... カリナと過ごせて楽しかった 僕の方こそ寂しくなって会いたくなるかもです」 僕は本当に寂しかった。 鳥かごのカリナともそうだが、あれ程 瀬野との()とか距離とか考えていた自分が今では嘘の様に彼女の事で心が満たされていると感じていた。 でも もう会う事もないだろうと思った。
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