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カリナと共同生活を始めて半月が過ぎた。 当初は殆ど鳴かず静かな小鳥だったが暫くすると僕の事を認めてくれたのか甲高い声とメロディーで歌い話し掛けてくれるようになった。 僕も何だか嬉しくて休みにはカリナを連れて近くの公園に行ったり土手の上から夕陽を眺めたりして僕の生活に馴染んで来ていると感じていた。 でもこのままで良い訳がないのでそろそろ届け出ようかと思っていた。 そんなある日いつもの様に散歩からの帰り道、カリナを拾った近くの電柱で張り紙を見つけた。 そこには 『以前 大きな間違いをしてしまった者です。 私の本当に大事な小鳥をこの辺りに棄ててしまいました。 今更ですがもし許されるなら会わせて頂けないでしょうか? 保護して頂いた方には感謝の気持で一杯です。 どうか私の一生のお願いです。 連絡先 080-・・・・・  瀬野』 「一生のお願い...ね こういう人は一生のお願いが多いんだよな」 読み終わると僕は届け出ようとも思っていたし少なくともこうして持ち主がメッセージを残している以上 連絡して確認すべきだろうなと思っているとカリナが突然 歌い出した。 それも今まで聞いた事のない音色とメロディーだった。 「無責任な飼い主に会いたいのかい? 君を棄てた飼い主に... それも君が生きている前提のお願いだよ こんなに脳天気な飼い主の所へ帰りたいのかい?」 何度も頭を傾けるカリナにそう言うと張り紙を引き剥がしポケットにねじ込んだ。 僕はその時この子との別れを覚悟した。 「カリナ... 僕は君の飼い主だった人に会わなきゃならないと思うんだ。 でも君を棄ててしまった人を簡単には信用出来ない。 分かるよね? だから君を返す前に詳しい事情を知りたいし 大袈裟かもしれないけど誓約書の一つでも書いて貰おうと思ってる 僕は今までこれほど生き物に対して向き合った事はないし これほど真剣になれる自分に少し驚いているんだ」 僕は相変わらず難しく思考し自分の無駄な几帳面さを恨んだ。
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