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次の日 気分は沈みがちで仕事もはかどらず会社からの帰り道も遠く感じた。
アパートに着くと勿体ぶるようにゆっくりとシャワーを浴び夕食を済ませた。
カリナはいつもより静かで僕の顔を見ながら何度も頭を傾げて、
「早く連絡してみなよ」
そう言っているような気がした。
ビールを一口飲みピーナッツを噛りながら張り紙をテーブルの上に広げた。 暫くメッセージを読んでみたが頭に入らず電話番号だけが目に付いた。
これほど電話をためらった事は初めてだったが仕方ないので番号を一つずつ確認して発信ボタンを押した。
「もしもし」
弾むような男性の声が響き周りが騒がしかった。
「瀬野さん...でしょうか?」
僕は少し大きな声で尋ねた。
「いえ...違いますが
...あっ!
小鳥の件ですか?
張り紙を見て頂いた...」
「そうです
失礼ですが...
違いますって何が違ったんでしょうか?
あの文面からすると連絡を心待ちにされているように思いましたが...
ああ、連絡が来ればラッキーって感じですか?
保護した者としてはガッカリですね...」
僕は熱くなっている自分に驚きながらも呆れて言葉に詰まってしまった。
「すみません、それは誤解です
私は駅前でウェルというお店をやっている三谷といいます
宜しくお願いします
今 営業中で少し忙しくしてますので私からご連絡させて貰っても良いでしょうか?」
「...いいですけど
分かりました
ちなみに何時頃になりそうですか?
私の番号は表示されていますよね?」
「あと1時間もすれば連絡出来ると思います。
番号は分かります」
僕は訳が分からないまま彼の連絡を待つしかなかった。
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