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僕は今迄の事を掻い摘んで話した。 「そうですか きっとカリナちゃんで間違いないですよね 先日 警察がお店に来て事細かく聞いていきましたが 捜査はこれからって感じでどうなのって思いました お兄さんもお礼かたがた鎌倉のお寺に行ったようです」 「そうですか お兄さんには事ある毎にメール入れてますから大体の事はご存知です」 「ええ 私達もお兄さんから聞いています でも亡くなった方は人違いだったんですってね それは早くカリナちゃんに知らせないと...」 「三谷さん」 「はい?」 「僕は思うんです... ひょっとしたらカリナはその事を知っているんじゃないかって... もちろん 何の確証もないんですが...」 「そうかも知れないわね... でもあの子にとって死は身近で理由なんてなくてもそれを望んで来た何かがある筈でしょう きっとそれが分らなければ繰り返してしまいそうで怖いの 実際に今までがそうだし... それにあの子は本当の愛を知らない... いえ、愛された事も愛した事も... ごめんなさい 変な事言って... とにかく 見つけて下さいね 絶対会えるって祈っています くれぐれも無理しないで下さいね」 「ありがとうございます 必ず見つけて連れて帰ります ちなみに鳥かごのカリナは元気ですか?」 「ええ元気にしてるわよ でも彼女がいなくなって寂しいのかここの所あまり歌ってくれないけど...」 「そうですか 綺麗な声で歌ってくれるよう早く会わせてあげます」 僕は そうは言ったものの不安しかなかった。
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