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「沖さん 大丈夫? うなされてたわね 酷い汗だし...」 三谷の奥さんだった。 彼女は度々来てくれるので直ぐに分かるようになっていた。 「三谷さん... カリナって知ってますよね 彼女はどうなったんですか? いつだか分からないんですが 彼女がここに来たんです 少しだけ大人びた顔で... でも間違いなくカリナでした」 「沖さん 思い出したのね よかった... 色んな事を話すのは医者から止められていたの 自然に自分の力で思い出す方が良いって... カリナちゃんの様子はどうだった? 何か言ってた?」 「それは僕が聞きたいんですが... とにかく悲しそうで酷く疲弊しているように見えました それに怪我してて... こうも言いました 僕がこうなったのは自分のせいだって... 幻覚なのかリアルなのか... 僕も混乱してるんです」 「あの子も大怪我をして入院してたの でも何とか回復して歩けるようにはなった だからここに来たのね 私も知らなかったけど毎日ここへ来てあなたの手や足を擦っていたみたい でも いい... 焦らないで あなたの脳は酷くダメージを受けたの ...どう言っていいのか分からないけど今は、 ”深海の中で一人彷徨いながら たまに光を放つ生き物が現れては道標を照らしてくれている” そんな感じかもしれない」
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