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「それでね あの時...
私たちが腕一つで繋がっていた時...わたし
黄色い小鳥が飛び立って行くのを見たの
幻覚じゃなくて間違いなく見たの」
「カリナ
それは僕も見たかも知れない
君の手首から煙の様に現れて黄色い小鳥が飛んで行った
幻覚だと思っていたけど...
えっ!まさか...」
「そうなの...
わたし達が救われた
次の日の朝
冷たくなっている鳥かごのカリナを見つけたって...
三谷さんから聞いた時 わたしの身代りになって“僕”と一緒に飛び去って行ったんだと思った
うんん それだけじゃなくて私たちの事も守ってくれたって...」
カリナは僕の胸にそっと顔を埋めて泣いた。
「鳥かごのカリナは初めから僕たちの運命の羽を持って現れて あの丸くてつぶらな目で僕たちの縁の糸が見えていたのかな...」
僕がそう言うとカリナは怪訝な面持ちで泣き顔を向けた。
「どうしたの?」
僕が尋ねると、
「アラタ...
手...」
僕はいつからかカリナの髪を撫でていた。
それからと言うもの僕の身体の回復は嘘の様に早かった。
両手が使える様になり起き上がって食事も出来るようになった。
きつくて痛いリハビリもカリナと乗り越える事が出来た。
介助が必要ながらも立って少しずつ歩けるようになり筋肉も随分回復した。
そして僕たちは以前から話し合っていた事を実行する時が来たと思った。
それは鎌倉の住職夫妻と石廊崎で鳥かごのカリナに会いに行く事だった。
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