もしも尾澤が妊娠したら……

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「男性も妊娠……そんな事本当にあるんですかねぇ」 「知らねーよ。どうせどっかの野郎が流したデマが勝手に広がってんだろ」 ニュースを見ながら勝哉さんと雑談 そんなある日、倦怠感が凄くて微熱が続いていたから病院へ行ってみると突然紹介状を書かれた そして次の日大きな病院で検査をした結果…… 妊娠 私は病院を出て直ぐに本屋へ向かった 購入した本は全て出産に関する内容の本 だけど全て女性向けの本 男性が妊娠と言う変異はまだ浸透していないからそれについての本なんかまだある訳ない けれど何も知識が無いよりかはいいと思った 「勝哉さん、妊娠しました」 「ああ?」 「今5週目だそうです」 「……誰が?」 「私ですよ」 そう言うと、勝哉さんの眉間にシワが寄った 「変な夢でも見たんじゃね?」 「いいえ。証拠ならここに」 信じない勝哉さんにエコー写真を見せ病院で言われた事をそのまま言った 「マジか」 「ええ」 「ふ〜ん……」 煙草に手を掛けようとした瞬間、急に手を引っ込めた勝哉さん 「あー煙草がねぇわ。ちょっくらコンビニ行ってくるわな」 「あ、はい」 煙草なら目の前にあるのに…… 部屋の隅にはカートンも転がっているのに しかも今煙草を取ろうとしてなかったか? ……どうやらかなり動揺しているようだ 勝哉さんがコンビニに行っている間買った本を読んだ 妊娠……出産とはなかなか壮絶なモノだな さてどうしよう、私は産む気満々なのだが勝哉さんの意見もきちんと聞かなければ だが一向に帰って来ない勝哉さん 一体何処のコンビニまで行ってるのか…… それから数時間後、漸く玄関の扉が開いた 「おかえりなさい、煙草は見つかりましたか?」 「おー」 だけど彼は手ぶらだった 一体何をしに外へ…… 「ん」 「え?」 急に勝哉さんが私に向かって手招きして来た 「何か?」 「取り敢えず着けとけ」 そう言って私の左手薬指に…… 「やべぇスコスコじゃねーか!お前こんな指細かったか!?」 「え!?あのっこれは……」 「ちっ面倒臭えな。まぁいーや、次給料出たらちゃんとした結婚指輪見に行こーぜ」 そう言われ頭をわしゃわしゃと撫でられた 勝哉さんの左手にはさっき着けられた私と同じ指輪が…… 初めての……ペアリング? や、だけどさっき結婚指輪って…… 「…………」 「ベランダに灰皿置きっぱだっけ?一服……っておい!」 気が付けば私の両目からポロポロと涙が溢れ出ていた 「泣くんじゃねーよ!ったく……」 「産んでいいんですか?」 私がそう言うと、ぎゅっと抱き締められた 「腹冷やすんじゃねーぞ」 「……っ」 勝哉さんの胸に顔を埋めまた更に泣いてしまった 私は本当に涙脆いな この子の為にもっと強くならなければ…… これも続く……のか? .
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