傷付いて傷付けて

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『お前なんか大嫌いだ!!』 「…………分かった。もういい」 憂と大喧嘩をした 喧嘩の理由は些細な事だった いつも通り俺はただ憂の事を愛そうとしていただけなのに無茶苦茶キレられて拒絶された 俺はこれまで憂の為だけを考え憂の為だけに行動していた それなのに何故そんなに嫌がる? 俺の優しさはいつの間にか憂には当たり前になっていて………… 最近憂からの愛情が感じられない 本当に俺の事を好きなのかと疑う事が時々ある 憂と喧嘩して家を出て1人で飲みに行った たまたま見つけてフラッと入った小さなバー 「はぁ……」 カランと氷の音を立てるグラスに入るウイスキーを何倍も飲み、目の前に沢山並ぶアルコールの瓶をぼーっと眺めていた 「……1人?お兄さん超綺麗な顔してるね」 するとその時、俺に声を掛けて来た男がいた 一般的に見てその辺にいる奴等よりかは顔はいい方なんだろうけど 「一緒に飲んでいい?」 「……………………」 「……ンッ……はぁっ……アッ」 「…………」 ヤケになっていたのかも知れない 彼の誘いに乗り酔いに任せてそのままホテルに行った 部屋に入り会話をする事もないまま唇を重ね舌を絡めた 一瞬で煙草の味が口の中に広がり俺は眉をひそめた 憂とは違う味…… 「はぁっ……俺、お兄さんみたいな人超タイプなんだ」 直ぐに好意を寄せて来た男を俺はただじーっと見た 「じゃあ舐めてよ。俺、上手い子が好きだから」 そう言うと彼は直ぐに俺の前にしゃがみ込み下半身に触れた 「………………」 「んぐっ……んっ……んっ…………」 簡単に手に入る様な男 言えば何でもするような奴…… 「もっと奥まで入れてよ。ほら」 「んっ!…………んんっ」 「…………」 本当に……つまらないな 「…………んっ!なに……?」 俺のモノを一生懸命に口に含んでいた男の頭を押し退け言った 「やっぱいいや。君、簡単過ぎて面白く無いし……俺帰るね」 「え……」 自分に自信があったのか、呆然とする男に金をヒラリと落とし俺はホテルを出た 憂と正反対な性格の彼に嫌気がさした 俺は憂の媚びない性格に惹かれたんだ それなのに俺は 酒の場の一瞬の気の迷い…… 罪悪感に駆られ、自分のしてしまった事を深く反省した 大丈夫 黙っていれば問題無い あの男とは二度と会う事はない 何も無かった事にすればいい…… だけど何となく帰るのは気まずくて適当なビジネスホテルを探して泊まって帰る事にした 今日の出来事は寝て忘れてしまえばいい…… でも、まさか彼とホテルに入る所を憂に見られていたなんて思わなかった 次からは[憂目線]です。 .
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