傷付いて傷付けて

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『朔夜…………』 喧嘩して出て行ってしまった朔夜を俺は必死で捜した そして俺は見てしまったんだ 朔夜が知らない男とホテルに入る所を………… 『ぅぅ……っグスッ……うっ……ぅぅぅ』 その場で泣き崩れ、何をどうしたらいいのか分からなくなった 気付けば俺は無意識に家に帰っていて…… 『…………』 誰も居ない部屋 朔夜は知らない奴とホテルで今頃…… 思い出せば出す程胸が苦しくなった そして自分を激しく責め声を出して泣いた 朔夜はいつも自分の都合で俺を抱く 本当に自分勝手でいつもムカついていた それが嫌だったから今回ばかりは俺も本気で拒否してみただけなんだ でもそれは間違いだったんだ 俺が朔夜を拒んだから朔夜は俺の代わりに他の男を抱いた 大嫌いなんて言うんじゃ無かった 朔夜は決して俺を裏切らない そう信じていたのに…… そして朔夜が帰って来たのは朝だった 「…………ただいま」 『…………』 俺は寝ているフリをした 本当は一度も寝てない。寝れない…… 朝帰りかよ 他の奴とヤッてきたクセによくも平気な顔をして帰って来れたなと思った このまま知らないフリをして普通に過ごすか問い詰めてやるか……俺の中で激しく葛藤した けど問い詰めれば俺は間違い無く朔夜に捨てられると思ったんだ 『…………』 起きてからリビングに行きそれから直ぐに出掛ける支度をした 「憂、昨日は……」 俺の顔色を窺っているのは直ぐに分かった 朔夜の話なんて聞きたく無い 『今からバイトだから』 そう言って俺は朔夜から逃げた 本当はバイトなんか無い 今はまだ何も話したく無いし顔を見るとやっぱりムカついて仕方なかった それにまた泣きそうだったから…… 泣き叫びながら責めてしまいそうだったから そんな事、出来ない…… 恐くて仕方ないんだ 心臓を抉り取られたようなそんな胸の痛み 正直言って俺はこの先朔夜とどう向き合えばいいのか分からない ただただ悲しくて、寂しくて……凄く苛々して………… あいつは平気で俺を裏切ったんだ それなら俺だって…… そう思い街へ足を運んだ 本当に、本当にツラくて…… 俺はただ誰かに慰めて欲しかっただけなんだ .
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