傷付いて傷付けて

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だけどそんな簡単に相手が見つかる訳も無く、俺はただ彷徨い歩いているだけだった やがて外は暗くなり、派手な人達が街中に増えた それでも俺の状況は変わらなくて…… 普段ならバイトが終わっている時間 直ぐに騒がしくなる携帯も静かなまま 朔夜にとって、やっぱり俺はもういらない存在になってしまったのかな 時間潰しに入った店は色んな匂いが入り混じっていてずっと居たら気分が悪くなった 間も無く日付が変わる時間帯 まだ一度も鳴っていない電話…… その時、ここで初めて俺に声を掛けて来た人がいたんだ 『いや、俺は……』 けど俺は誘いを断った 歩いているうちに段々と冷静になっていた俺は自分がしてる行動を馬鹿馬鹿しく思える様になっていたんだ 相手は酒に酔っていた 俺の態度が気に入らなかったのか、そのまま揉めて喧嘩にまで発展してしまった 殴り合いは無かったけど、店員に通報されそうになり下手したら警察沙汰になっていた 「…………憂!」 それから行く所も無くなり、諦めて家に帰ると朔夜が凄く心配そうな顔をして玄関まで駆けつけて来た それが少し嬉しくて 「何処行ってたの?心配してたんだよ」 『ああ……』 でも俺はワザと素気ない態度をとった 朔夜がした事を思い出しまた苛々したからだ 「……泣いた?目が赤いよ。何があった?」 よくも俺にそんな台詞が言えるなと思った 「それに服が……」 喧嘩して少し乱れた俺の服を見て朔夜は表情を変えた 『別に何でもねーよ。相手が少し乱暴な奴だったから……お前も昨日男とホテル行っただろ?俺知ってるから……同じ事したんだし、これでお互い様な』 俺は朔夜に嘘をついた つまり当て付け 「何……?ホテルって……同じ事?」 明らかに動揺した朔夜を見て深く溜息をついた シラを切られるぐらいならはっきりと言ってくれた方がマシだ 『いーってそんなの。……もう忘れよう』 立ち尽くす朔夜の横を通り過ぎ、リビングを通って浴室へ行こうとしたら後ろから腕を力強く掴まれた 「体を……許した?」 『っせーな、いいだろ別に。お互い様って言ったろ』 振り払おうとしたけど更に力を入れられた その時、朔夜の手が少し震えている事に気が付いた 「誰に体を許した?」 『痛い!離せよっ』 その瞬間、いきなり抱え上げられ寝室へと連れて行かれたと思ったら荒々しくベッドの上に投げ落とされた 『……ッッ!何すんだ!』 「乱暴な奴って?どんな風にされた?」 『痛っ!』 服の中に手を入れられ強く握られた 『朔ッ……痛い!』 「…………」 『じ、自分だってホテル行ってやる事ヤッて来たクセに!!ぅぅ……っ、ぅ……』 涙が出た こんな朔夜、俺は知らない…… 「ああ、確かに行ったよ。何も無かったとは言えないけどこれだけは言えるよ。彼とは寝ていない」 『……っ!けど裏切った事には変わりないだろ!』 「裏切った?どっちが?」 『待っ…………ッッ!!』 慣れていない場所に無理矢理ねじ込まれ、声の無い悲鳴を上げた 「……っ」 口を手で押さえられ…… 『…………っっ!……ッ!……ッッ』 ただ痛みに耐えるしか無くて…… 『ふッ…………ッ……っ……ッッ』 キスすら無いこの行為 涙でぐちゃぐちゃになった俺を1度も見る事は無い 『痛ぃぃッ……いだぃぃぃッッ……ぅぐッ!』 声が漏れたらまた手で口を塞がれ激しさが増した 『ーーーッッ』 普段、俺が朔夜にどれ程優しく抱いて貰っていたのか身に染みて分かった .
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