傷付いて傷付けて

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『ぅ……』 俺の体を拭く朔夜の手で目が覚めた 途中から記憶に無くて…… 「気が付いた?」 『…………うん』 ジワジワと感じて来る痛み 手首には掴まれた様な痕がくっきりとあった 「ごめん、本当にごめん。どうかしてた」 『……』 「この体に他の奴が触れたって思った瞬間気が動転して……」 朔夜が…… 泣いていた 『痛っ……ッ!!!』 体を起こそうとした時激痛が走った 「無理に動かないで。傷になってるんだ」 俺の体にそっと布団を掛け深い溜息を吐いた後朔夜は両手で自分の顔を覆った 「悔やんでも悔やんでも悔やみ切れない……俺はどうしてあんな馬鹿な事を。ホテルなんかに行くなんて……酔っていたなんて言い訳にならない」 『……本当にしてないのか?』 そう聞いた 「してないよ。けど……キス以上の事はした」 『…………』 キス以上の事…… 「分かってる、全部俺が悪い。俺が憂を責める権利なんて無いんだ。それなのに酷い事を…………」 『……』 「嫌われたって仕方ない……俺はどう償えばいい?消えて欲しいならそれでも構わない。どうにかするから」 『何だよそれ…………痛っ』 痛む体を無理矢理起こし涙を流す朔夜を睨み付けた 『俺の体をこんな風にしときながら……』 「本当にごめん。他の奴が憂を……それを聞いた瞬間頭に血が昇って……」 『俺もヤッてないって言ったら?』 「……え」 『ホテルにさえ行ってないって言ったら?』 「…………」 『俺だって本当に苦しくてどうしたらいいか分からなくて……その時俺に声を掛けて来た相手と喧嘩になって胸倉掴まれてそれで……』 「本当に……?」 『うん』 「何も……していない?」 『……うん。嘘ついた』 「………………本当にごめん」 『俺が今すぐに別れたいって言ったらどーする?』 「……っ」 『どーする?』 「……従うしか無いよ。俺は最低な事をしたんだから」 『…………』 朔夜の首を引き寄せ、唇にキスした 「……んっ」 『…………』 自分から初めて朔夜に深くキスした…… 『嫌いになれたらどんなに良かったか……』 そしてそのままぎゅっとしがみ付き朔夜の胸に顔を埋めた 「憂……」 『何で他の奴なんかとホテル行ったんだよ……っ』 「ごめん……不安だったんだ。憂が俺の事本当に好きでいてくれてるのか分からなくて……っ」 『好きじゃ無かったらこんな事しねーよ!!』 「だけど憂は俺が触るといつも嫌がるから……っ」 『それは…………朔夜に触られると体が直ぐ変になるから嫌なんだ。気分だっておかしくなるし自分が自分じゃなくなるみたいで……こんな事、おかしいだろ』 「それって……全然おかしくないよ。それは憂がちゃんと俺に反応してくれて…………俺は本当に馬鹿だ……本当になんて事を……ッ」 『馬鹿野郎……っ』 「うん……ッ」 『浮気者……っ』 「本当にごめん……ッ。もう二度としないから……傷付けて本当にごめん……憂」 『絶対に許さないから……』 「許さなくていい。憂の気が済むまで俺を殴れ」 『殴れねーよ……グスッ、好きなのに殴れる訳ないだろアホ……朔夜のアホ……ッ』 朔夜に抱き締められ、また涙が溢れ出て来た 「これからも憂のそばにいて……いい?」 『勝手にいなくなったら……グスッ、もっと許さねーからな……ぅぅ……っ』 「…………有難う。ごめん……ごめん……本当にごめん憂……」 『……っ』 俺の事を散々傷付けたクセに自分まで傷付いて…… 本当に訳分かんねーよ…… 「愛してる。本当に……」 『……俺も……愛してる』 初めて言った【愛してる】と言う言葉…… 何をされても、どんな事があっても俺は朔夜の事を嫌いになれない 俺が……俺の方がずっと朔夜と一緒に居たいから でも浮気は絶対許さんからな! fin .
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