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その怖そうな男の人の手元に、見覚えのある厚みのある紙が見えて、私の思考は一気にそちらに向いていた。
「……クロッキー帳」
それは、一般的なコピー用紙などの紙の裁断の対比よりも長さが短めで、独特な長方形の……いわゆる、スケッチブックに近いもの。
その紙の厚さは薄く、短時間に簡単に、何枚もスケッチするのに向いている画材。
スケッチブックは分厚い画用紙で出来ていて、じっくりと時間をかけて描くように学校でも使われるけれど、クロッキー帳はスケッチブック程一般の学校では使われない。
それは、描く対象を数分で、正確に描くという技術は、じっくり描くデッサンとはまた違うから。
クロッキー帳と、恐らく速描の対象である男二人の絡みからして、この人も(怖い顔のくせに)絵を描く人なのだと、微かな感動を覚えていた。
顔も声も、怖いけれど。
ということは、さっきの部屋でカリカリ作業をしていた人たちも、まさか――同類!?
「おい女」
「え、は、はい」
ただしこの人口わっる。
「お前、背景描けんの?」
「…………はい??」
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