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なんだか向かっている先には、どでんとした大きな真っ黒くて怪しい車があるような気がして。
「今日中に帰してあげるから、ちょっと付き合って」
「……はい」
爽やかな笑みを向けられれば、抵抗するのもどうなのかと思ってしまう。
気のせいなんかではなく、その真っ黒な車の後部席のドアを開かれると、私は速やかに攫われていった。
「荷物重いでしょう?後ろ乗せようか?」
「あ、いえ、結構です。持たせてください」
その時私は、ようやく微かな希望に気付いた。
もったいないけれど、いざとなれば画材のその重さは武器になったり盾になったりしてくれるのではないか、と。
着いた先は、運転手のゴツいお兄さんから微かに想像していたけれど、倉庫だった。
え、この人こんなに爽やかで物腰丁寧に見えて不良なの?
海の近くのその倉庫の外壁にはたくさんの落書きがされていて、明らかに治安なんてクソくらえというような見た目をしていて。
外にも何人かバイクを乗り回している人がいて、その人たちもガラの悪い人たちばかりで恐怖しか湧かなかった。
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