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最初のほうには、叱るということの難しさや重要性、叱る際に心がけるべき塩梅などがつらつらと書かれている。
正直なところ、この辺りは読んでもいまいち理解できなかったし退屈だった。
ニュアンスを文字で伝える難しさなのか、あるいは著者の日本語がいまいちなのか。
とにかく途中からは半ば読み飛ばしのような状態になっていた。
僕はもっと即効性のある叱り方が知りたいのだ。
第一章をどうにか乗り越えると、第二章には実践編と銘打たれていた。
なるほど、これは役に立ちそうだ。
「叱るときには思い切りも大切です。例えば、部下があなたを舐め腐っている場合。堂々と仕事中にスマホでゲームをしている現場を発見したとしましょう」
なんて具体的な文章だろう。
舐め腐っているという表現は引っかかるけれど、僕も遠からずここに仲間入りしそうな気がする。
そう思いながらふと目を上げると、部下の一人がスマートフォンをいじくっているのが見えた。
新谷という男で、僕より十は若かっただろうか。
お調子者で明るいムードメーカー的な男ではあるけれど、同時に僕を一番舐めているような気がする男でもある。この本の表現を借りれば舐め腐っているというべきか。
あまりに堂々としたその姿に、僕の血も俄かにたぎり始めた。
まさに本に書かれている状況だ。
僕は慌ててそのページに目を走らせた。
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