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こういう場面を目撃した場合には、やはり思い切ることが必要です。
例えば、机を思い切り叩いて大きな音を出しながら、対象の社員の名をできる限りの大声で怒鳴り、速足で社員へと近づき、襟首をひっつかんで引きずり上げます。それから「貴様、仕事中に何やってるんだ!!」などの乱暴な言葉を言葉を、耳元であらん限りの声量を使って怒鳴る……
「おい、新谷!!」
フロアに響く怒鳴り声。
静まり返る中、本を片手に持ったまま、足音も荒々しく僕は新谷に近づいた。
「なんスカ……」
彼の言葉が終わるのも待たず、その襟首をひっつかんで僕は彼を引きずり上げた。
「貴様、仕事中に何やってるんだ!!」
できるだけ耳元に口を近づけて僕はそう怒鳴った。
顔をしかめ、苦悶の表情を浮かべる新谷。
これは良い、効いているじゃないか。
この次、どうするべきなのかを見ようとして、ページがそこで終わっていることに気づいた。
慌てて本のページをめくる。
……ようなことをしたくなるかもしれませんが、それは心の中だけに押しとどめましょう。
絶対にやってはいけません。
「……へ?」
気が付けば、フロア中の視線が僕に向けられていた。
その中には、僕を抜擢してくれた部長の目もあった。
こうして、僕は無職となった。
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