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「俺、明日仕事なんだぜ。横須賀なんてカンベン。そのへんじゃダメ?」
「京野とは箱根まで行ったんだよね」
「それ休み……。てか、なんで知ってんの?」
まったく悪びれる様子もなくハンバーグを食べ続けている。そういう男だ。
「わかったから。早くしろよ。時間ないんだから」
本当は別に海になんて行きたくもなかった。横須賀はふと思いついただけだ。箱根より近いし。疲れている。一刻も早く眠りたかった。
「京野」とは20代半ばの女性社員のことだ。担当している売場の一般職で部下にあたる。私と蓮のことを知っているようだがいつからだろう。私が京野のことを知るよりも先だったのか。苦しみ悩んだ時期もあったが最近ではもうどうでもよくなっていた。
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