4-2.ハッピーハロウィン!―中編―

16/16

897人が本棚に入れています
本棚に追加
/470ページ
***  基地(ベース)の中ではくるみと実篤(さねあつ)は年子の男の子ばかりの小学生組三人の後をついて歩くのが主な仕事だった。  堀夫妻は園児の娘さんと、双子の男の子ふたりを見ていて。  小さい子らを任されたら確かにどうしていいか分からなかったかも知れん。大きい子組の方でよかった!と思った実篤(さねあつ)だったけれど。  じゃあ大きい子たちが安泰だったかというとそうでもなかった。 「あー! ちょっと待って! ちょっと待って! 勝手に走って行かんちょいて〜!」 「あああ! 何で三つに分かれるん! みんな一緒にっ!」  小学生組をお願いします、と堀夫妻に言われたとき、年の離れた弟や妹がそのくらいの頃、子犬のようにクルクル動き回る彼らを追いかけ回していたのを思い出して「いけるじゃろ」と思った実篤(さねあつ)だったのだが――。 (あの頃は俺も若かったんじゃったぁぁぁ!)  と心の中で嘆きの悲鳴を上げる羽目になった。  ぜぇぜぇ言いながら子供たちに翻弄(ほんろう)されまくり、振り回されまくりの実篤(さねあつ)を、くるみが嬉しそうにコロコロ笑いながら追いかけて。 (くるみちゃんも若いわぁっ!)  自分と同じように走り回っているはずなのに涼しい顔をしているくるみを見て、改めて年の差を実感させられた実篤(さねあつ)だった。
/470ページ

最初のコメントを投稿しよう!

897人が本棚に入れています
本棚に追加