4-3.ハッピーハロウィン!―後編―

5/20

897人が本棚に入れています
本棚に追加
/470ページ
「もっ、もちろん、そのつもりじゃけど……もしもに備えて、ね?」  今すぐにでもすぐそばのくるみをギュッと抱きしめたくなって、「こんな外ではまずいじゃろ、俺!」と理性を働かせた結果、挙動不審に視線を泳がせてしまった実篤(さねあつ)だ。 「分かりました」  言ってから、「あーん、それでも(ほいじゃけど)やっぱり!」とくるみがつぶやく。 「こっから実篤(さねあつ)さんの家までって三十分以上も掛かるんですね。別々に行くん、何か寂しゅうなりました」  実篤(さねあつ)の家は由宇町(ゆうまち)にある。  市町村合併で岩国市に組み込まれた町なので、結構距離があるのだ。  目的地に実篤(さねあつ)の家を指定した瞬間、ナビが「目的地まではおよそ二十キロメートルで、四十分くらいかかります」と告げたことが不満らしい。 「ほいじゃあ車、そのままにして俺のに乗る?」  明日はどうせ『クリノ不動産』自体休みなのだ。  このままくるみの車が停めてあったからと言って支障はない。  ないのだけれど――。
/470ページ

最初のコメントを投稿しよう!

897人が本棚に入れています
本棚に追加